不動産投資において「ファミリータイプの区分マンションなら実需で売れる」というセオリーは、確かに一定の説得力があります。実際、単身者向けワンルームよりも広めの間取りは、居住ニーズが根強く、出口戦略としても安心感があるように思えます。
しかし、そんな“常識”が通用しなかった事例があります。今回は、私自身が経験した「売れない区分マンション」の話を、キャピタルゲイン狙いの反面教師としてご紹介します。
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✅購入の背景:「実需で売れる」と信じてオーナーチェンジで取得
1年前、都内某エリアでファミリータイプの区分マンションを購入しました。築年数はやや古めながらも、間取りは2LDK。すでに賃貸中で、利回りも悪くない。何より「退去後に実需層に売却できる」と踏んで、オーナーチェンジで取得しました。
このエリアは借地権物件が多く、価格も割安。「借地権でもファミリータイプなら売れるはず」と、当時は楽観的に考えていました。
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✅想定通りの退去、しかし売却は難航…
購入から数ヶ月後、入居者が退去。ここまでは想定通りでした。
しかし、いざ売却活動を始めると、まったく反応がない。内見は入るものの、決まらない。価格を下げても、反応は鈍い。理由は明白でした。
「借地権だから買いたくない」
この一言に尽きます。
確かにこのエリアは借地権物件が多いのですが、買主の心理は「借地権だからこそ避けたい」。実需層は住宅ローンの審査や将来の資産価値を気にします。借地権というだけで、選択肢から外されてしまうのです。
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✅空室のままローン返済が続く苦しみ
売れないまま、物件は空室。家賃収入はゼロ。それでもローンの返済は毎月やってきます。
管理費・修繕積立金・地代も当然発生。キャッシュアウトは続き、精神的にも金銭的にもじわじわと追い詰められていきました。他の物件がカバーしているためなんとか持ち堪えている状態です。
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✅出口戦略の甘さが命取りに
この経験から痛感したのは、「出口戦略の精度がすべて」ということです。
• 借地権物件は、実需層にとって心理的ハードルが高い
• ファミリータイプでも、借地権というだけで売れないことがある
• オーナーチェンジで購入する際は、退去後の売却難易度を冷静に見極めるべき
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✅まとめ:キャピタルゲイン狙いの反面教師として
この物件は、結局価格を大幅に下げて売却活動中です。売れても手残りはほぼゼロ。むしろ少しマイナスでしょう。
「ファミリータイプなら売れる」「借地権でもエリアに馴染んでいれば大丈夫」——そんな希望的観測は、現実のマーケットでは通用しません。
もしこれからキャピタルゲインを狙って区分マンション投資を検討している方がいれば、ぜひこの事例を反面教師として参考にしてください。
不動産投資は、出口戦略がすべてです。
